やむを得ずにした行為

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 正当防衛が成立するためには、自己又は他人の権利を防衛するため、「やむを得ずにした行為」である必要があります。正当防衛は、急迫不正の侵害者に対して権利を防衛するために必要とされるものです。従って防衛行為者に優越的な地位が認められるとされています。このような経緯から、緊急避難の場合よりも成立要件が比較的緩やかに解されています。すなわち、正当防衛によって実際に起きた侵害結果と、同じく回避した法益を見比べ、回避した法益侵害よりも、侵害性において大であったとしてもなお正当防衛が成立する余地があるのです。この要件については、他に手段がない場合などの補充性の問題とは異なることに注意しましょう。 判例によれば、防衛行為の相当性の判断は、「防御的な行動か否か」といった事情を考慮するとされています。これに対して、学説では、防衛するために、侵害の回避・退去義務を否定することを前提として、防衛するための必要最小限度の法益侵害行為であることを要求します。当該具体的状況の下で、可能な防御行為、及びその使用形態を考慮し、個別具体的に判断していくことになります。

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