概説

 正当防衛が、違法性阻却事由の1つです。違法性阻却事由というのは、構成要件に該当したとしても、適法な行為として扱われるものをいいます。刑事事件、すなわち刑法典の犯罪が成立するためには、構成要件(犯罪が成立するために必要な要件)を充たし、違法性阻却事由(適法として扱われる事由)がなく、そして責任阻却事由(責任を負わない事由)もない場合であることが必要です。正当防衛はそのような違法性阻却事由の1つとして認められているのです。 正当防衛については、刑法36条で規定されています。まずは条文をみてみましょう。

刑法36条
 1項:急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
 2項:防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

 このように、正当防衛が認められるためには、「急迫不正の侵害に対して」、「自己又は他人の権利を防衛するため」に「やむを得ずにした」場合である必要があります。

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