防衛するため

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 正当防衛は、「防衛するため」に行われる必要があります。そして正当防衛は、あくまで侵害者に対して反撃することのみを認めたものですので、侵害者以外に反撃しても違法性阻却されません(ただし、この場合に「緊急避難」(刑法37条1項)が成立する余地はあります。)。
 防衛行為との関係で最も重要な論点は、防衛行為というためには、「防衛の意思」が必要かどうかです。この点について判例は、防衛行為たるためには、防衛の意思が必要と考えています。そして判例は、「憤激・逆上した場合(最判昭和46・11・26)」、「攻撃意思と併存する場合(最判昭和50・11・28)」などのケースにおいても防衛の意思を肯定しています。ただ、「攻撃を受けたのに乗じ積極的な加害行為に出たなどの特別な事情」があるときには防衛の意思は否定され、「防衛に名を借りて侵害者に対し積極的に攻撃を加える行為」(積極的加害行為)は防衛の意思を欠くとも判断しています。 この点については学説上、大きくいえば「肯定説」と「否定説」が対立しています。どちらが正しいかは定かではありませんが、学説の多数説は、判例と同じように緩やかに考えます。

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